理事長所信


一般社団法人伊勢青年会議所 2018年度

第六十二代理事長 川端 裕昌


 1957年の設立より永きに渡る年月は、我々に誇りある組織の姿を残してきた。これまでの一年一年に情熱を注ぎ込み、培われた経験を大きな財産として我々に残していただいた先輩諸兄に深い敬意と感謝を申し上げる。そして、この組織に在籍する事への誇りを持ち常に堂々と活動をしていきたい。

 第62回の神宮式年遷宮が斎行され5年の歳月が経過しているが、この地域の盛り上がりは今日に至っても衰える事は無く、各所においても多くの賑わいを見せ、未来に向けた新しい事象が生み出されていく気運が高まってきているのを実感する。しかし、一方においては少子化や都市部への流出により人口減少が叫ばれ、これからを担う絶対数が少なくなってきている事も事実である。

 その様な時だからこそ、改めて足元を見つめ直す事が必要であると考える。

 物事を早急に進める事は大事な事であるが、急速な成長が実情と理想に齟齬を招く事も事実である。それは地域においても同じであり、発展だけを求めるのでは無く、発展を支える事ができる器を形成してく事、地域とひとが同じ方向を向いて同じ目線で成長していく事が必要であると考える。

 地域は外側から取入れられた刺激からのみで発展するものでは無い。住まう一人ひとりが真剣に考え、真剣に地域に向き合わなければならない。全ては内側から、成長する地域にあわせ、自らの意思で地域と住まうひとの心を育てていける事が望まれる理想の姿である。

 それはこの地域に根差し活動する伊勢青年会議所だからこそ成しえる事である。我々は自らの意思で集まり、自らの想いを持って活動する団体である。そして、青年会議所は三信条の基、会員が自己を研鑽する場所である。多くの機会が研鑽へと繋がり、得られた経験は自らに、ひいては地域へと還る。

 我々の活動は自らが発信し、自らの理想へと帰結する。そのことに責任を持ち多くの機会を生かすべく、広い視野を持って活動する事が望まれる。

 地域を率先して先導する青年経済人が集う伊勢青年会議所に所属する会員は、数多くの責任を背負っている事を、自覚しているはずである。これまで62年続く伊勢青年会議所という事実が、それを物語っている。それは周りを気にして密やかに活動してきた訳では無く、日々の活動のなかでの姿勢を通して、責任の重みを示し続けてきたからである。それは本年においても何ら変わる事は無い、ここに所属する会員は信念を曲げる事無く、確乎とした姿勢を貫き続けなければならないと考える。

 その為にも、一つひとつの所作に意識を払い、組織の一員としての矜恃を持って、襟を正した範となる姿勢を考え、佇まいを形成していくべきである。心技体を兼ね備えたものこそが、伊勢青年会議所会員として相応しい。

 全ては自らの意思であり、取り巻く環境である。率先して自らを律し、姿勢を正し、所作振る舞いを精練させ、その環境を生み出していただきたい。

 このまちの歴史は古く、神宮とともに日本の歴史とも深くかかわりを持っている。そして、自然に囲まれた地域の姿は神話の時代から今日に至るまで、一貫してその神々しい姿を見せ続けている。それは、脈々と歴史が続いてきた証であり、その時代を生きた先人達から受け継がれてきた事は、住まうひとの強さである。この国の成り立ちからなる精神性、他を敬い、自らを尊ぶ心、他者に対しての敬意を持つと共に、己を強く持ち堂々と生きていく。いつの時代においても変わる事の無い心の在り様である。

 まちには素晴らしい伝統文化が資源として存在する。資源を有効に活用していく為にも、根幹を見極め、そこにある心の在り様に触れる事ができれば、更なるまちの発展への手掛かりになる。

 新しいものを生み出すだけでは無く、目に見えない本質を追求していく事が、このまちの特色を広く浸透させていく事に繋がると確信する。

 我々にはまだまだ知らない事が多くある。それを正しく知る事が地域の未来を見出す事に繋がる。このまちには可能性が数多く存在するはずである。

我々は地域が求める事を感じ取り、率先して行動を起こすなかで、この地域で唯一の団体として確立されてきた。それは我々の活動が常に正なものであり、想いが地域へと浸透してきた結果である。

 昨今、物事を伝える手段は発展し、多岐に渡る様々な発信手段がある。そのなかでも重要な事は我々の活動を的確に捉え、想いをより正確に地域に伝える事。単純な事柄であるが最も重要であると考える。

 それは、組織や所属する会員にとっても同じ事である。内外に対して真剣に直向きに活動する姿、その内面にある想いを捉える事は我々の名を高めていく事と同義である。青年会議所活動という限られた枠組みのなかで、目の前の事象のみに追われる事無く、内外を問わずどの様な場所においても、先を見据える一貫した思考を持って行動へと繋げる事が必要である。

 その為にも自身を理解し、内部からその想いを深め、外部に対して大きな発信を為していただきたい。伊勢青年会議所をより強固なものとしていくのは、全て我々の想いからである。

 確実な基盤の上に組織は成り立つものである。一般社団法人格への移行から6年が経ち、組織を取り巻く環境も大きく変化を遂げているといえる。定められた定款、諸規定を順守し運営をしていく事は当たり前であるが、時代の変化と照らし合わせて、その是非を確かめていく事も必要である。それが組織の為の太い骨格を形成する為の一つの視点と成り得るはずである。また会計面においても一つの過渡期を迎えている。組織の未来を見据えるなかで、最大限に活躍ができる組織の在り方を徹底的に考えるべきである。

 そして、組織はひとの集合体である。一人でも多くの会員の増強は組織の存在力を高める事に繋がるはずである。その充実の為にも、形に囚われる事無く、自らの感性を持って拡大活動を行い、全ての会員に同じ様に会員拡大への意識を浸透させていく必要があると考える。

 何かを変える事は単純な事では無い。変わらずにある事には確かな意味がある。それを知って尚、常に時代を意識して最善の運営を追求し、組織の発展に繋げていただきたい。そして全ての会員に理想とする組織の姿を意識させていただきたい。

 時代は新たな次代に向かっている。しかし、我々の進むべき道筋は何ら変わる事は無い。我々に何ができるのか、何を成していくのか。これまでの大きな財産をすり減らし活動をするのであれば青年会議所活動の意味は無い。他者に任せるのではなく、自らが真剣に考え、真剣に向き合い、自らの発信で物事を変革させていく事ができれば、理想の地域の姿となる。

 我々は自らを信じ、誇りを持って活動を成し、更なる情熱と経験を糧とする為にも、惑う事無くその歩みを進めていきたい。